夏菜の野菜畑

アクセスカウンタ

zoom RSS 「晴れ着のゆくえ」 中川なをみ

<<   作成日時 : 2017/04/25 16:21   >>

トラックバック 0 / コメント 0

児童文学作家、中川なをみさんの大人向け小説。
まずその、装丁に心を奪われます。

画像

画像


この表紙カバーは、むらさき草で染めた、紫紺染め。
そして、カバーの下にあるのが、日本茜で染めた、茜染め。
それぞれ、祖父が祖母が、孫のために染料を手作りするところから始め、
手間暇かけて染め上げた、布なのでした。

――色は、染料になる植物の意志だよ。ねじ伏せても、機嫌を損ねるだけだ――

そうして晴れ着となり、長襦袢となったこの布たちが、持ち主の少女のもとを離れ、
さあ、どんな旅をしていくのか。

実に実に、美しく、かつ繊細な緊張感が漂う作品です。
文は人なり、というのはよく言われることですが、私はこの作品を読んで、
ますます深くそれを実感したのでした。

中川なをみさんが、これまでに追求してきたものたちが、この作品の中にはぎっしり詰まっています。
いつまでも触れていたいような布。
つるりとした陶器。
国境も時間も超えて、なおも美しいものたち。
そういうものを、繰り返し愛するのも、愚かな戦争をくり返すのも、やはり人間。

作者ご本人の美意識が、あますことなく伝わってきました。
作中の布の手触りが、匂いが、読後いつまでも残るのでした。

――自信がなくてしょんぼりなんかしたら、着物だけが目立って、わたしはみすぼらしくなってしまう――

ああ、こういう気概を持って、モノを書いていきたいものです。
すぐに自信をなくして、しょんぼりする私は、思わず身じまいを正したのでした。



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「晴れ着のゆくえ」 中川なをみ 夏菜の野菜畑/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる