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zoom RSS 15歳、ぬけがら 栗沢まり

<<   作成日時 : 2018/06/25 14:45   >>

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遅ればせながら、栗沢まりさんの「15歳、ぬけがら」を読みました。

栗沢さんはこの作品でデビューされておられますが、デビュー作特有の溢れる熱のようなものを感じました。
書かねばならぬ、伝えねばならぬ。重たい現実を真っ向から問題提起していこうという、作者の思い入れと勇気が眩しい一作です。

今、日本は不景気続きで閉塞感に満ちていますが、「昔みたいに飢えて死ぬようなことはないんだから」と思っている方多いんじゃないでしょうか。「親からネグレクトされていて、ご飯も作ってもらえず、お金も渡してもらえない」という子どもの状況は、極端な例だと思いたいのが一般的な感情かもしれない。
しかしそれは、決して稀有なケースではないのです。

「不幸慣れ」を言う言葉を聞いたことあります。
水が止まった部屋。空腹。部屋に男を引っ張りこむ母親。クリーニングされたことのない制服。同級生からの嘲笑。
不幸が続けば、人間はそれにどっぷりとつかり、脱出しようという意欲もなくなるといいます。
現に主人公の母親は、貧困の中、自暴自棄となりました。

しかし、子どもは生まれてくる家庭を選ぶことはできない。現実に抵抗し、改革するような術は大人以上に持ち合わせていません。親の不幸や貧困に巻きこまれたら、その場所で生きていくしかない。
主人公にもし支援塾「まなび〜」が無ければ? もしも、家族以外に寄り添ってくれる大人がいなければ?


物語は周囲に支えられた主人公が、彼女なりに成長を遂げ、動き始めるところで終わっています。
「かっこいいぬけがらになりたい」という、中学生なりの純粋な思い。
彼女に、エールを送りたい思いでいっぱいになりました。
しかし、同時に作者は、逆説的に言いたかったような気もするのです。
支えてくれる大人がいない場所で、絶望している子どもは、今確かにいるのだと。どうかその子たちに、目を向けて欲しいと。
その思いは、きっとこの本の読者に届いたと思います。

そして栗沢さんは、「匂い」を書くのがうまいです。
公園のトイレの匂い、ぐちゃぐちゃに散らかった部屋の匂い。母親の化粧の匂い(腹立たしいことに、そこにはお金をかけてる)久しぶりの食べ物の匂い、汚れた服の汗の匂い……。
読者はページを繰るごとに、いろんな匂いを嗅ぎ、社会の片隅に追いやられた子どもたちに、思いをはせることでしょう。

     
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